氷の科学 第1回|製氷機の氷は「無料」ではありません

「うちは製氷機があるので、氷代はかかっていません。」

飲食店様とお話しするとき、こうおっしゃる方が少なくありません。でも、一度計算してみてください。

業務用製氷機(製氷能力25kg/日クラス)を稼働させると、毎月これだけのコストが発生しています。

  • 電気代:消費電力250〜400Wの機種で月額約4,500〜9,000円
  • 水道代:製氷量の約1.5〜2倍の水を消費するため月額約1,000〜2,000円
  • メンテナンス費:フィルター交換・年1回の専門業者洗浄で年間約2〜5万円、月割りで約1,700〜4,200円

合計すると、製氷機には月額7,000〜15,000円、年間で約8万〜18万円のコストがかかっています。「無料の氷」の実態は、年間10万円超のランニングコストです。

もちろん、製氷機が不要と言いたいわけではありません。大量のクラッシュアイスを使うオペレーションでは欠かせない設備です。ただ問題は、すべての用途に製氷機の氷を充てていることです。

ウイスキーのロック、スペシャルティコーヒーのアイス、丁寧に仕上げたカクテル——これらに製氷機の小さなキューブが最適かどうかは、科学的には別の話です。

次回は、「高価な天然水の氷を使っているから大丈夫」という、もう一つの思い込みについてお話しします。


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